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歌と王権

古代の君主はその徳がなければ、天変地異が頻発し民に禍をもたらすものとされそれは易姓革命の
根拠としての天の意思でもあるとされました。
したがって王たる者は天の意をまえもって知ることがたいせつであり四時の順行を確認することは
最もたいせつな任務でもありました。
つまり四時順行とは季節の順当な巡りと五穀の豊穣に力を注ぐことであり、そのためには地上の
時間表としての暦をつくることでした。
            歌垣

暦を用いることで四季の循環をしり生産物の収穫を豊かにすることができれば天の意にかない
天子に徳があるものとされていました。
易経には「天の神道を観賞て四時たがわず、聖人は神道を以て教を設けて天下服す」とあり
斉明、天智天皇のころも巨大石による水時計などを設けていたようです。
他に天子は四季に応じてその方位に拝し政を行うことが必要でした。政は祀りであり呪術でも
あります。
四時の順行に応じて数々の祀りをとりおこない一年の順調な推移と豊穣を願うのが神道でもあった
のです。

陰陽五行では、天子は中央に位置し四季の循環を司り天地の大和をもたらし民の平安をもたらす
ことがその天意を果たすことであったようです。
五行では、東、春は木気、南、夏は火気、西、金気は秋、北、水気は冬とされ土気は、各季節の終わり
の18日にあて季節の生死、循環を果たすことに配されていたものです。

また五行においては天子の呪術として歌をつくり読むことも大切な呪術とされていたようです。
歌の中に四季のの順当な移ろいや豊穣の予祝を詠み時間を動かすことが必要とされました。
万葉集をはじめ数々の歌が編集されたのはそのような五行思想が暦とともに入ってきたからで
した。
五行の音においては呼ぶは木気、笑うは火気、歌うは土気、啼くは金気、呻くが水気に配されて
いたため「歌」は土気の呪術であったのです。
土気は既述のように中央でもあり人でもあり天子でもあり季節の変化、四時順行を司る働きを
行うものでした。そのためしきりに歌はつくられ歌われたものです。

こんにちでも宮中での歌会初めは重要な行事として行われているのはその天子と歌の関係を引き継ぐ
文化と考えれば自然なカタチであると思います。
天皇は民の暮らしを気遣い、天変地異を悲しみ国家の平穏を願うのは古代王権の思想を継いでいる
ものとして捉えることができるのです。
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