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赤飯と葬式の民俗

「きょうはお赤飯を炊いてお祝いにしましょうね?」
氏神さまの祭りや誕生祝い、また子供に晴れがましいことが出来た時にはよく母親が口癖にしていたものです。
赤飯はめでたい時の食べ物だと思われていますが、実はお葬式などに赤飯を炊くところも東北から北陸地方にかけて多くありました。

古来より赤い色には邪気を祓う力があるとされ、祭りや祝い事にはハレの食べ物として赤飯が振る舞われる。古墳の石室の内側には辰砂が使われ赤く塗られるのも赤色による魔除けの例とされています。
またハレのときに赤飯を用いる理由は、古代の稲作において米は赤米であったために神さまに赤米を奉納して祭祀を行った古風であるとの説明も多い。
              赤飯2

一方で凶事でも赤飯を炊くことの関連は心許ないままです。
赤が邪気を祓うという説や、祭りも葬式も「ケ(日常)」とは異なり「ハレ(非日常)」であるからハレの食事(赤飯)とする説や、長寿を全うした人の葬儀にはその長命にあやかり参列者に対し赤飯を出した等もある。

他には、南天の実が赤いので「難ヲ転ズル」にかけて「験直し」の願いを込めたというのもある。
更には疱瘡などの流行り病に、南天を戸口に吊るしたり、赤唐辛子を木に挟んで挿したりすることや、疱瘡神は赤い色を喜ぶために、部屋中を赤一色にして祀った、等々である。
               石室古墳2

「赤」にまつわる情緒的な理由も多いのですが、陰陽五行の視点から考察しましょう。
赤飯を食べる「赤を食す」ことは「人と火の色彩の関係」として置換されるようです。
陰陽五行で、人間は、死者も含め「土気」に配当されています。新生児にとって産屋で誕生して人間になるということは、産屋の形状は火を意味するために「火生土」を布衍することになる。

新生児が氏神さまに誕生の報告をする宮参りにアヤツコという赤や鍋墨で犬や×印を額に印すのは巷でいわれる魔除けではなく不安定な新生児から人間の子への成長を願うものでした。
目籠を背負った犬張り子や安産のための腹帯も、犬の安産にあやかるのではなく「戌」という干支が「火生土」の働きを帯びているためだ。

十二支による五行で火の三合と土の三合は寅午戌ですが、火は寅に生じ午に盛んに戌に没す。土は午に生じ戌に盛んに寅に没すとされるので、火と土はリレー継承の関係にあり五行での「火生土」の展開となっています。
古代の「たたら製鉄」では死体を傍におくと鉄の涌きがよいとされ歓迎された(火→土→金)
漁師は、漁の途中で水死者を見つけると大漁になるといって懇ろに弔った。死体も土気ですから土剋水により水を治め漁も制する。

天孫降臨神話ではニニギの子をコノハナサクヤヒメは産屋に火を放ちホデリ、ホノスセリ、ホオリ皇子を産んだとあり、確かに近畿から沖縄まで産室に火を焚いてお産をする「サンヤ(産屋)の火」の風習はあったようだ。
新生児を「赤子」というのは体色が赤みを帯びているから(広辞苑)ではなく、赤(火)を親として産まれるからではないでしょうか?
               産屋2

更には、葬式が来世への誕生であることを思うと「喪屋」は「産屋」と通底することになり「火生土」を共有する所以である。
七歳までは神の子(神の管轄)や、生後七日に命名をする、正月七日を人日とする、などもある。勿論「七」は、火の働きを示す数である。 
この様に五行の理を以て判断すると、赤飯が慶弔において用いられるのは「土気」の有する生と死の両義の働きを意味するために何ら不思議はない。

四季の終わりの18日間に置かれる「土用」は、一つの季節を終わらせ次の季節を誕生させる死と生の両義の働きをするもので土用の本質である。
新生児は誕生してすぐに人の子としてみられなかった。袖無しのボロを着せられ3日~7日目に手通しの服を着せられてはじめて人の子になるとされた。

誕生も葬式も同根であり、産屋と喪屋は同じ呪物の構造になり、赤は火で人の祖であり土気である人を加勢する働きを担うものである。

「赤飯」のもつ呪力は赤(火)の働きをもって土気である人の生死、又は健康に加勢する意味において共通であり寧ろ重要でもあったのでしょう。
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