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はぐれ蛍

              古民家レストラン

 森の古民家レストランを出ると、もう辺りは夜の帳(とばり)が下りて、昼間は気づかなかった河鹿や虫の音が、一斉に迫ってきた。

薄暗い外灯から遠ざかると、闇の色は濃くなり、路の中ほどに、小さく光る粒が落ちていた。
不思議に思い、近づいてみると、その光るものは、微かに動いて明滅を繰りかえしている。

──蛍だ・・
              蛍1

この地域は、標高500mの高地にあるため、夏の気温も平地より5℃くらいは涼しい。
九州の暑い夏でもエアコンは要らず、窓からの夜の冷気は肌に寒いほどだ。

麓では、蛍の舞う季節は、もう過ぎようとしていたが、この奥山の清流の付近は今が
盛んのようである。

「こんな路の上だと轢(ひ)かれてしまうよ?」

米粒ほどの小さな蛍を掌にのせて、そっと道路脇にある紫陽花の葉の上に移してやる。

              蛍2

路の下からは、心地よく清流の響きが届いてくる。更に奥の暗闇の中空には、微かに揺れて飛ぶひと群れの夏虫の灯がみえた。

──蛍の木だ。

「おまえも、早く 仲間のところへ行きなさい・・」
 私は、まだ幼い「はぐれ蛍」に声をかけた。

              蛍3

 小さく点滅する光の粒は、未だ葉のうえに止まったままで、飛ぼうとはしない。

──困った奴だ・・

 すると、昨年の秋、10才で亡くなった、愛犬「マロン」の姿が 脳裡に浮かんでいた・・・
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