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猿聟(さるむこ)入り

昔々、日照りが続いたある村で、田が涸れて困った農家の長が、「誰か水を引いてくれる者がいたら三人の娘のうち誰かを嫁にやってもいい」と呟いた。
すると、どこからか猿が現れて来て、田に水をひいたり、畑を耕したりして助けてくれた。
猿はそのようにして、約束どおり「娘を嫁にくれるように」と言った。

               里山1


父親は仕方なく、三人の娘に話すと、長女も次女も「猿などの嫁には行きたくない」と断るので、ようやく話合の末に三女が猿の下へ嫁入りすることとなった。
父親は、娘の嫁入り道具として、臼と扇子を持たせてやった。

そして猿に嫁いだ三女は、里帰りのときに「父親は餅が好物だから」といい、猿に餅を搗くための臼を担がせて出発した。
道の途中の川の流れの強いところにくると、「父親は、藤の花も好きだから」と言って、猿に重い臼を背負わせたまま高い藤の枝を取るようせがんだという。

猿は、妻の頼みをきいて枝の先まで登っていくと、臼の重みで瞬く間に急流に落ちて流された。
それでも猿は、「オイラはどうなっても構わないがお前の事が心配だ」と言い残し、川底に沈んでしまった。

                 猿


「猿聟入り」という民話だ。「異類婚姻譚」の一つとされ、多少の差があっても不思議と全国に広がっている。
この「猿の恩を仇で返す」という釈然としないストーリイには、何処か隠された暗号があるように思えるため、陰陽五行で考えてみた。

1日照りと猿
「草が伸びてしまい草刈りを手伝いに」という話もあるが、基本は「日照りと雨乞い」型の内容が多い。猿が涸れた田に水を引いてくれたというのは、猿は十二支の「申」の気質を引いているためだ。

五行では、旧暦の7月(現8月頃)は秋の初め「申月」であり、秋は四季の中の金気であると同時に、支の三合では「申・子・辰」は水を表すため、水気の初めでもある。

そこで猿は水を代表し、火災防止のシンボルとなることが多い。また金気としての猿は、「金生水」で水の親でもあるため、これより日照りの田に猿が現れるというストーリイとなったものでしょう。

2三人の娘
猿の婚姻の相手として三人の姉妹が登場し、長女、次女は断るが、三女(少女)は引き受ける。易では長女は「巽(木気)」中女は「離(火気)」とされるため、猿との相性はそれぞれ「金刻木」「水刻火」で、何れも「五行相剋」となって相性が悪く、ひとり三女のみが「沢(金気)」であり「金生水」の五行相生となっているためだ。

3「天地否」の結末へ
申月は、「天地否」の卦の通り「天地が各々の処に分かれて通じ合わない(否)、非情」ことなっている。
折角、恩を受けた猿が重い臼を背負い川に転落死するのは。申月の卦では「天地否」をしめし、猿と娘の思いは通わない「否」となっているからであろう。

                    川

異類婚の場合は多くは破たんして、それぞれに還るというものが多いが、猿は水である以上、水に還るという設定となっても不思議ではない。

以上より、この「猿の聟入り」という話は陰陽五行の「申」の帯びる「水と金」の民話と、田圃の干ばつと雨乞いの関係を述べた物語のように思える。それゆえに同様の民話が全国に広まったもののようだ。

ただ水に沈んだ猿が、「おまえのことが心配だ」と言った意味は、再び田が日照りとなってしまうことの暗示なら、人間も罪なものだ。
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