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「川渡り餅」の謎

「かわたりもちやーい、もちやーい」と子どもたちの売り声が聞こえてくる。
昭和の初期ごろまでは、12月1日に「川渡餅」を売るのは子供の役目とされたようだ。

旧暦の12月1日に「川渡り節供」と呼んで水神や河童に餅や団子など甘いものを奉納して水難を防ぐという不思議な伝統行事があったといいます。

 特に新潟県、上越地方では上杉謙信の戦の故事にかけて伝えられ、この日に食べる餅を「川渡り餅」と呼び現在でも和菓子屋さんでは販売されている。

                     川渡り餅

この風習は、このような故事が伝わる上越地方の独特の民俗かと思ったら、なんと全国いたるところに見られたという。
中国地方ではボタ餅を膝に塗りつけると川で転ばぬといい、関東ではこの日の早朝、子どもが川に尻をつけると河童にさらわれないとされた。

12月1日を『乙子の朔日(をとごのついたち)』と呼ぶところがあるのは「乙子(をとご)」とは末子のことであり「乙子月」とは旧暦12月の異称でもあるからだ。

 長崎県でも同じく「川渡餅」と呼ぶ餅菓子があり、12月1日に神仏に供えると水難を避けるといい、茨城県には12月1日の朝についた餅を川に流し河童を供養すると子供が水の事故に遭わないとされた。

 佐賀県地方でも「川渡り節供」として「カワターイモチ(川渡り餅)イランカー」の振れ声で売り歩いたといいます。
小城(おぎ)羊羹で有名な小城町では、餅を川に投げ入れると水難除けになるとし、玄海町や松浦地区のように餅ではなく「粥」などを炊いて「カワワタイメシ(川渡り飯)」と呼んだ地域もあった。

何れも「川を渡る」「餅や団子」「粥やシトギ」などねった菓子や搗(つ)いた餅などを水神に捧げ共に食べたり、川に投げ入れたりすることが共通する。

                    川

これは夏の6月1日に多い「川祭り」、「水神の祭り」と対の行事とも云われますが、6月の水難防止は理解できるが、真冬である12月1日は水難とは季節が合わない気がします。

つまり「川渡り餅」や「団子」を川に投げ入れるのは、単に「水神への供物」や上越地方の「上杉謙信の故事」によるだけでは謎を解けないようだ。

そこで日本の民俗を、易・陰陽五行の視点から見直した吉野弘子氏の論を参考に推理してみましょう。
 ①なぜ12月1日だけか
 ②なぜ「川を渡る」というのか
 ③なぜ餅や団子、或は粥など甘いものか
 ④なぜ餅を売るのが子どもの役目だったか

①12月1日は、6月1日の水神の祭りと共通点はあるようだ。
五行では1~5までを万象の働きを構成する五元素を「生数」として、一を水、二を火、三を木、四を金、五を土とする。
更には6~10までは各々生数の「働き」を表す「成数」として、六は「1+5」で水の成数、七は「2+5」で火の成数、同様に八は木、九は金、十は土と成る。

                     粥

すると1も6も12もそれぞれ水の気を表し、また旧暦の12月は「丑」であり「冬」であり四季では「水」の月となります。
そして12月の場合の水は水難の水というより、寧ろ「冬」「寒気」をしめす水とする方がわかりやすく、また旧12月は「亥子丑」の冬3か月の境目の「丑月」としての水である。

つまり12月1日とはこの様に水の気が重なり強い水の気と共に水(冬)を送り出す月のためである。

②「川を渡る」という表現は、冬(こちら側)から、川という境界を、春(あちら側)に「水を渡り切り」、水(寒気)を逃れる呪術であろう。

                     五行配当表

③餅や団子など甘いものは、水を制するための五行相剋のモノザネにちがいない。
「土剋水」により水(冬、寒気)を送るのは「土気」であり、五行配当では「甘味」は土気だからです。「粥」とは米(白、硬い)を水のように軟らかく炊いたもので七草粥と同様に迎春呪術のモノザネである。

④川渡り餅を売る役目は子どもだったとは、子どもは「艮・小男・乙子(をとご)」であり強い土気を表し、季節を冬(水)から春(木)に「川を渡す役目」は丑寅(艮)を経由するだからで、水を制するのも「土剋水」の理により土気の役目のようです。

以上を考えると、旧暦12月1日の伝統行事「川渡り餅」「川渡り節供」とは、陰陽五行の理に基づいて設計された「冬送り」「正月迎え」の民間呪術だったように思える。
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