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「神の妻」・白拍子

白無垢からの色直しは、神に仕える巫女の斎服をお返しして、許しを得て人間の妻になるための衣装替えのことらしい。
「婚家の家風に染まりやすくする」ためではなく、お色直しまでは、神事として行い、その後は人間の妻となった披露目の直会(なおらい)のようです。

女性が、土地の神に仕える巫女の資格を以て来訪神と一夜を共にするのは土地の精霊が神に服従する神婚儀礼であり、土地の神楽を奉納するタマフリの行為も服属儀礼のひとつだったといいます。

  白無垢2

 遊びをせんとや生まれけむ
 戯(たわぶ)れせんとや生まれけむ
 遊ぶ子どもの声きけば
 わが身さへこそゆるがるれ

大河ドラマで馴染みとなった今様「梁塵秘抄359番」の歌です。
一般に、「遊び、戯れるために生まれて来たのだろうか。遊んでいる子供の声を聴いていると、感動のために私の身体さえも動いてしまう」等と訳されているようです。
然し、どこか微妙に違和感を覚えます。
「遊び」、「たわむれ」の語彙に、古語と現代の乖離があるからです。

『梁塵秘抄』は平安末期の遊女(あそびめ)や白拍子などによって歌われた流行歌の集大成。(撰者の後白河上皇は、今様に夢中になり遊女の乙前(おとまえ)を師としていた)

白拍子

遊び:神事として歌舞を奉納すること・・・遊び①
戯れ:ふざける、恋に溺れる、猥らな行為をする、
遊ぶ子どもの声きけば・・・遊び②:純心な子どもらの舞う行為
子ども:本来、神に近い尸童(よりまし)として神霊の依代だった

上により、【巫女として神アソビの為に生まれてきたのでしょうか、それとも(異性と)戯れるために生まれてきたのでしょうか? 今、無心に舞い遊ぶ子どもの声を聞くと、白拍子として零落した我が身の儚さに、心が揺らいでしまう (本来は神事として巫女舞を奉納するべきであるものを) 】と訳したくなります。

白拍子は、平安の末から鎌倉時代にかけて興った歌舞と、それを演ずる巫女。主に男装の遊女や子供たちが今様の歌舞いを演じた。

稚児舞1

「徒然草225段」・・・「多久資(おおのひさすけ)が申しけるは、通憲入道(みちのりのにゅうどう)、舞の手の中に興ある事どもをえらびて、磯の禅師といひける女に教へて舞はせけり。白き水干に、鞘巻(さやまき)を差させ、烏帽子(えぼし)をひき入れたりければ、男舞とぞいひける。禅師が娘、静と言ひける、この芸を継げり。これ白拍子の根元なり」とあるように、源義経の愛妾だった静御前や、その母である磯の禅師など白拍子として有名でした。

白拍子は、初めは水干(すいかん)に立烏帽子(たてえぼし)をかぶり、白鞘巻(しろさやまき)をさして舞い、男舞と呼ばれていたが、後に烏帽子、刀を除けて、水干だけを用いるようになって、水干は多く白色だったことから白拍子とよばれたという。

古くから神事において、男女の巫(かんなぎ)が舞を舞う「巫女舞」が原点と伝えられている。
巫女は、舞う事によって、その身に神を憑依させ託宣(たくせん)を行ったことによります。

遊女らは水路交易の要所にて活動し、船遊びなどに深く関わった俳優(わざおぎ)であり、貴人の舟に乗りこんで宴に華を咲かせることにより生計を立てていた。もちろん、時には夜のたわむれを共にした。(この歌の「たわむれ」とは、客神と同衾をする意味であろう)

神楽

アソビは本来、巫女によるタマフリ、タマシズメの「わざ」のこと。舞によって魂を招き、次はそれが遊離しないように足を踏みをしながらながら踊り固める。神婚の儀礼も巫女によるタマフリのわざのひとつ。
「遊び女(め)」の略でもあり、「心楽しく時間を過ごすこと」が原義で、楽しく過ごす内容は時代により異なった。中世には神事としての舞踊や遊び女らとの遊宴が中心となった(古語辞典)
―――遊び女:神に仕え奉仕する巫女(性行為も含む)のこと、遊女。

参考【大和岩男雄説】
“遊女の古語は「アソビメ」で、豊穰儀礼としての神アソビにおける一夜妻(巫女)を意味していた。非日常のハレの日の性行為はすべて神アソビであり、・・・また、近世の遊廓では客を大神(大尽)、客の連れを末社、遊女を上臈(じょうろう)もしくは大夫と呼び、贅を尽くした饗宴をつきものとした。客は、客神、遊女は巫女ないし女神という設定であった”

遊女

・・・・・神の妻として客神に尽くし、祓の奉仕をする女神こそが廓の設定でした(神婚秘儀)。
また神社のお祭りには、遊女が舞踊って奉仕していました。このように日本の芸能は、祭礼の中で発達して来ました。その証しに、多くのあそび茶屋、遊郭はその産土神の神社近くにあった。
豊穣の予祝の祭りに、男女交合を意味するアソビのあるのは、作神と巫女による豊作祈願の神婚儀礼をあらわしたものだった。

このように神事としてのアソビと、私事としての戯(たわむ)れが錯綜しながら、次第に現代のような倫理感に収れんしてきたようです。今ではアソビは「神あそび」の原義が霧消し通俗的な放蕩を意味する言葉となりました。

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