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土用と丑の日

「土用の丑の日だから、鰻丼でもいただいて夏を乗り切りましょう」
 この季節が来ると何気なく交わされるセリフですが、これが古代より日本文化に浸透していた陰陽五行説からの民間信仰と気づかなくなっているようです。

7世紀には「陰陽寮」という役所が設けられ、天武天皇は自ら「遁甲を能くした」とあり記紀神話は易、陰陽五行を下敷きとしているといわれます。
以来、永きに亘って朝廷や幕府、また山岳信仰や民間の催事まで及んでいました。

                 五行1
     
ところが明治3年の「大政太政官布告」により「陰陽道禁止令」が発布されることにより歴史の表舞台からその姿を消した風になっています。廃仏毀釈と共に新政府の国家神道の下に中央集権化の宗教政策だったのでしょうか。
それでも長年の間浸み込んだ文化や民間信仰、または地域の祭祀には脈々として息づいていることがわかります。
個々の事例はブログ記事で確認できますので、今回はこの「土用と季節」についてみてみましょう。

19日が「土用の入り」であることは当然「土用の明け」もあるわけでそれは四季の始まりである立春、立夏、立秋、立冬、の前日(節分)までの18日間のことで、それぞれ前の季節の名の「土用」と呼んでいます。

四季という言葉も今は、春夏秋冬のそれぞれの季節という意味に使っていますが、もとは陰暦の春夏秋冬それぞれの3か月(孟・仲・季)の終わりの月のことでした。陰暦の3月6月9月12月が季節の終わりでしたのでその月の中の終わりの18日間を「土用」としたものです。

夏の土用は現行の暦では5月(孟夏)6月(仲夏)7月(季夏)の3か月の内の終わりにあたる「季夏」の最期の18日間ですから、今年は7月19日から8月6日の立秋の前日までです。丑の日は干支の「丑」にあたりますから7月25日(癸丑)と8月6日(乙丑)の2回となっています。暦のうえで2回あるときは初めの「丑の日」を用いたようです。

       五行配当表

陰陽五行は、森羅万象を木火土金水の「五気の働き」に分類し、一年は四季を春(木)夏(火)秋(金)冬(水)として土気については、各季節の終わりの18日間に割り当て、その季節の終止と次の季節の誕生を促す「土気」の性質(用)とした。
土用とは「土気の働き」のことで、季節の終わり(死)と新しい季節の誕生を促す四時巡行の重要な働きと捉えていました。

四季の中にある「土用」のなかで特に「夏の土用」を特に「土用」として注目したのは、「土用の鰻」を食べる風習のせいではなく、夏の土用の間は猛暑が続き、ものも傷みやすくまた疫病なども流行りやすい季節であったからで、この時期に夏祭りなどが集中し「焦土の夏」から実りの秋への転換と息災を願ったことからでしょう。

五行には、「相生」と「相剋」がありますが、四季の中で夏から秋への移行には夏(火)剋秋(金)となり「相剋」の関係となり、干ばつや台風、洪水など災害も多発しやすい季節で五穀の実りには脅威でした。そこで「土気」の働きによって火生土、土生金の「相生」の関係に中和するために夏の土用は特別意識をされたものです。

しかし土気の働きというのは両刃の剣、生と死の両義性を有するため強烈な土気の働きは人間の健康にとっても厳しい作用があるとされました。
夏の土気が強いのは夏(火気)に煽られた土気のためです。五行では「火生土」となり、夏の土気を特別に強くする働きをもつため、その強すぎる土気を中和するためには火(暑気)を相剋する「水」を用いて火を和らげることが必要とされました。
                
                    土用うなぎ


「丑」は十二支では「水」の象徴でもあります。牛は農耕の家畜として重宝でしたので牛に代わって鰻を摂ることを発案したのが平賀源内だともいわれています。

鰻も水生の生き物で体は黒く、黒も五行では水気であるためウの付く水気の食べ物を「丑の日」の風習としたと考えられます。鰻は滋養も高く暑気に弱った体力を回復するにも合理的だったものでしょう。

その鰻が乱獲や生息環境としての河川環境の変化で今や絶滅危惧種に指定されようとしています。そうなるとこの「土用の丑の日」という文化がまたひとつ私たちの記憶から薄れていく心配も出てきます。
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