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一升餅

「秕(シイナ)は 舞い出ろ、実は残れ」、と唱えて初めての誕生日を迎える幼児を、箕の中にいれて揺する風習が各地にあった・・・

通過儀礼のひとつで、昭和23年、満年齢の数え方が法制化されて以来、毎年の誕生日を祝うようになりましたが、以前は、「誕生祝い」とは、「初誕生」に限られていたといいます。

               誕生餅

一升餅、ウチタオシ餅、ムカワリ餅、等々、名称は様々ですが、「初誕生」に餅を搗(つ)いて祝うことは全国で行われていました。

九州では、大きな鏡餅のうえに長寿の人がつくった草鞋(ワラジ)を履かせて、立たせたり歩かせたりする。 関東から中部地方では、「一升餅」を搗いて子供に背負わせます。

―――誕生日前に歩く子は、親を見捨てると忌嫌い、餅を投げつけてわざと転ばすところもあったという。

初誕生には、箕の中に男の子なら、そろばん、筆、お金などを、また女の子なら、モノサシや裁縫道具などを入れ、子の前において、最初に手にするものにより、将来を占うなども共通しています。これを「選び取り」といいますが、親御さんは、こどもの成長を願って思い思いの品を手に触れやすいようにしたりするようです。


               一升餅
                                
一升餅は、搗いた餅を風呂敷に包んで子に背負わせて箕の中に入れると、「一生食べていける」といわれました。

箕の上にこどもを入れ、大人がゆすりながら「秕(しいな)は舞い出ろ、実は残れ」と唱えると、邪気が抜けて実(みのり)のある一生を歩むとされたようです。

 「秕(しいな)」とは、殻ばかりで中身のない籾(もみ)や、実らずに枯れてしまった果実のことでした。

箕は、今では農家でも使われなくなりましたが、穀物の殻やクズを取り除き、選別する用具でした。
藤つるや、柳をタテに、へぎ板や割竹をヨコにした筵編(むしろあみ)で一方を空け三方を立ち上げ木や竹の縁をつけたもの。穀物などを入れ、両手で縁を持ちふるいながら軽い殻や籾クズなどをより分けます。

                 箕
                               
箕は、そのような農具としての用途のほかに、神供(しんく)の器としても用いられていました。

鹿児島県、坊津では、十五夜に、箕に入れた餅、里芋、ススキ、栗の枝などを臼の上に載せた。
佐賀では、トシトク(年徳)さんとして、元日を迎える前に土間に臼を起こして、上に箕を握るカ所を奥にし、その年の恵方に向けて置き、そこに花、餅二枚重ね、二股大根などを箕のうえにのせます。

また、ウスガミサマ(臼神様)と称して農具に越年させるために、小屋や土間に農具を並べ、臼を横に寝せたり伏せたりして杵(きね)を二本添えるのが一般的でした。これに餅、柿、ミカンで飾り歳木を添えたといいます。

ウスガミさまは、作神であり、亥の神、山の神でもあり女神としての崇めかただったものでしょう。

                 臼2

初誕生の「餅ふみ」には、初めに東を向いて、次に南に向き、終わりに西向きと三度ふませる地方もあった(東松浦郡玄海町)。幼児のふんだ餅は、麻糸などで切って親類縁者や近所に配ることになっていたようです。

こうして箕が供物を載せる容器として用いられるのは、箕は異界とつながっている神聖な呪具とされたからでした。
マレビト(来訪神)も、子共も常世の国からやって来ると信じられていて、その分、稚児は神に近い尸童(よりまし)の資格をもって多く祭祀に参加してきたものでした。

「初誕生」の儀礼に、稚児と餅と箕の関わりかたが「一升餅」の風習として続いたものに違いない。



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