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犬神を祀った址

「カーン」
白球を打つ硬い金属音に続いて、大きな歓声、鉦太鼓の音が、すり鉢形の野球場の上空に舞い上がった。

球児の試合の応援にいくと、この市営野球場の周囲をめぐるクリーク沿いには、「高太郎犬神屋敷址」という奇妙な、白い高札がひっそりと立っており、次のような記述がある。

【この辺一帯は、小高い丘になっていて、屋敷があり、犬神さんを祀っていたから、付近のひとたちは、通称「犬神屋敷」と呼んでいた。

 犬神供養塔は、自然石に「犬神」と二字が陰刻されていて、代居春巳宅の裏藪の中に祀ってあったが、現在は南500m南の高太郎丸、小太郎丸屋敷址に移されている。

建立の年月日は不明である。建立の目的も定かでない・・云々】とある。

 今頃、「犬神」という文字が公の掲示板があるのは、ホンとに珍しいのだが、「犬神信仰は四国一帯や、九州の東部に伝わった信仰、呪術で、憑き物のこと」とある。

飢えた犬を首だけ出して土に埋めて、眼のまえに餌を置いて「飢えが頂点にたっしたところで犬の首を切って祀る」という猟奇的なものらしい。

これにより呪詛する者の願いを聞き入れ、財宝を運んだり、他人に憑いて災いを起こしたりする目的に使役するというのだ。

              狼1

但し、一度「犬神」を祀ってしまうと、今度は、子々孫々、家系累代の女性に憑いて廻るという。

まるでミトコンドリアのようだ。それとも女性は「坤」の卦を負うことにより天地の魔物が憑きやすいという理論が先行したことによるのものだろうか。何れにしても、そのために婚姻などでは「犬神憑きの家」として差別をされたといいます。

そうすると、この高太郎という地名が、「高太郎犬神屋敷址」として掲示され、犬神を祀ったと、そのままに記されているのは意外なことである。

 犬神信仰の歴史は古くて、平安時代には「犬神禁止令」が度々出されるほどだったという。

狐憑きや、蛇憑きなどと並んで、動物の霊を駆使して人を「呪詛」したりする信仰で古代中国より伝わったともいわれる。

動物の憑き物は、人や家にとり憑くと重い病気を引き起こしたり、厄災をおこしたりする悪霊らしい。

易に於いても、「山風蠱(さんふうこ)」は凶卦のひとつで、皿に盛った食物を「蟲(むし)」が食い荒らすという意味で、腐敗と混乱ののちに家系が衰亡するという象である。古代の呪詛には「蟲毒」をもちいたという記録もあることから、家格が中心の古代においては、大変に恐ろしいものだったようである。

                  山風蠱

犬は、もとより金獣であり、金気の生き物、殺気が強いために、うまく手なづけることで呪者の凶器に変えるものだろう。

金気の獣としては、犬猿鶏が干支でも想い浮かぶが、民話の桃太郎では、邪気を祓うことができるという「桃」の属性を帯びた桃太郎が、猿、犬、雉という金獣の家来を連れて、鬼ヶ島に退治に出掛け、滅ぼして財宝を持ち帰る話は、「金剋木」の五行相剋の敷衍のようである。鬼は「陰・穏」であり、丑寅(艮)の木気の怨霊の象徴であるからだ。

つまり殺気のつよい金獣を、上記のような方法で祀ることにより「犬神」を使役したものだと思える。

 そのために「犬神筋」「犬神もち」と呼ばれて、恐れられ差別を受けて来たものらしい。

それ故に、今日に於いてもなお「高太郎犬神屋敷址」が犬神を祀っていたという掲示板には驚かされる思いがした。
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