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山姥の原風景

山姥の説話は全国的に広がり、牛方山姥や食わず女房、三枚の札、などに分類されるが、基本的には、山姥の正体を知らずに、宿を借りたり、女房にするが、途中で山姥であることに気づいて必死に山姥から逃げ帰るというプロットである。

            山姥2
    
牛方山姥では、牛方がニシンを積荷として奥山に入ると、山姥が顕れ、にニシンも牛も食われ、牛方自身も食われそうになり必死の体で逃げる話。食わず女房では、飯を喰わないと言ったはずの女房だが、米が減るのを怪しみ屋根裏に隠れて覗くと髪の間の大きな口から飯を大量に頬張る山姥の姿をみて逃げる話。

三枚のお札は、寺の小僧が山菜を採りにいき奥山の一軒家に辿り着くと、そこで迎えた老婆が山姥だったことに気づき、家から
逃げるとき和尚から貰った魔除けの札3枚のご護符のおかげで逃げきる話である。

どれも人里はなれた奥山に迷いこむと、そこに人を食う山姥が棲んでいて旅人や迷い人を引き込み食われてしまう話、となっている、いわば立ち入ってはならない、見てはならないという禁忌の物語だ。

          山姥6

これはイザナミが黄泉戸喫(ヨモツヘグイ)をして死者の国に去ったあとを追ったイザナギが、見てはならないという妻の死体を覗いて死穢に触れたことでイザナミの怒りにふれ黄泉の平坂まで追われ蔓草や櫛、桃を投げ、ようやく逃げ帰るという「日本神話」の影響を滲ませているようにみえる。

禁忌を破る、怒りに触れる。必死の逃避行をする。そして最期に山姥の死体から宝物が出るという話。日本神話の、ツクヨミに殺されたウケモチ、スサノウに殺されたオオゲツヒメの死体から五穀や牛馬が生まれるというモチーフを踏襲しながらも、神話の構造はむしろ借り物であり、実際に人の立ち入らない(立ちいってはならない)深山があり、そこには人を食う山姥という妖怪が棲んでいたのであろう。

背景には、服従せざる漂泊の山人、サンカとの遭遇であるとか、各地に伝わる口減らしのため60歳になった老婆を山中に棄てた姥捨てなどの風習を背景にした話ではないかと思う。

おそらくは棄てられた老婆の獣に食われた遺骸や骨などが散乱していたのだろうか。
或いは、中には生への執着に苦しみ鬼女となって山姥に化身した姿もあったのかも知れない。

そこで黄泉の国のイザナミの神話をかりて、立ち入ってはならない霊域を結界として伝えたものだろうか。
これには歴史的にも凄惨な飢饉を背景とし、生き延びるための集団の掟や、祖霊は山に帰るという信仰をもとに生まれた姥捨ての風習も噛み合ってのものだろう。このことは必ずしも現代の倫理観でとらえては割り切れないものだったと思う。
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