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風の盆

猛暑と渇水の夏が過ぎると、一転して列島に台風の猛威が襲う。暑さと渇水の大地に天水の潤いをもたらすが、同時に大きな風害をも招く。

旧暦の八月一日はいわゆる「八朔」だ。丁度この頃、立春より二百十日を迎え稲穂に花が着き、実りの秋へ向かい大切な季節となり、台風は稲作にとって天敵となる。

                   台風1

暴風を封じるための「風封じの祭り」がこの八朔の頃に各地で見られる。
風鎮めの神社を「三郎神社」と呼ぶところが多い。

「三」は、巽(五行では木気)を表す数で、「三郎」とは風のことである。

「風送りの祭り」とされ富山県八尾町に伝わる「おわら風の盆」は今年も始まっている。風封じと五穀豊穣を願い三日三晩、唄や踊りに酔いしれる「おわら風の盆」(三は風の数である)

胡弓の音が響く中、三日月型の編み笠姿の男女が、嫋(たお)やかで優美な踊りを見せると、見物客は幻想的な秋の風情を感じながらおわらの調べに酔う。

今では全国からの観光客も多く有名な「風送りの祭り」とされている。

風封じには色いろなものがあるが、「風止め籠り」として、八朔の日などに地域の氏神さまにお籠りをする「風籠り」などが多く見うけられる。

……八朔に、風封じを祈るのは、旧暦、八月が「仲秋」の秋(金気)の正位であるためだ。

               風切鎌

他には、草を刈る「鎌」は風の力を衰えさせるとされ、信州や上州では屋根に取り付け、越中、富山では強風のとき竹竿の先に付けて風に向けて立てた。また、法隆寺五重塔の上の相輪には4本の「風切り鎌」が取り付けてあるのは有名で、「4本」は金気の生数のゆえだろう。

肥前、佐賀の綾部神社では、風の象徴である長方形の旗を銀杏の木に吊るして旗上げ神事を行い、秋彼岸に旗降ろしをする。
これは明らかに陰陽五行より、風(木気)を相剋するものは金気という「五行相剋」の理を以て行われている。「風切り鎌」も「銀杏」も金気のモノザネだからです。
              
                風の盆2


ところが「風の盆」は、どちらかといえば仏教行事の盂蘭盆会の精霊送りを以て風の霊を送ろうとする意図が「風の盆」という名からも窺える。胡弓の調べや踊り手の嫋やかなる仕草は、風の舞う様子を表すように見える。

舞は手も足も体もどこかしなやかに艶めかしく屈曲していること、風は五行で屈曲を表している。極めつきは踊り手の被る半円系(三日月)型の笠が踊りの姿態に揺れて観る人を惹きつけることだ。

仏教では五大(「地」、「水」、「火」、「風」、「空」)を表すそれぞれの形に、「地」は方形、「水」は円、「火」は三角形、「風」は月、「空」は宝珠としているため、踊り手の網笠は「風」そのものに違いない。

ルーツとしての「踊り念仏」により風そのものを供養し送る踊りが「風の盆」といわれる由縁なのだろう。
八朔のこの頃、収穫に向けて風の精霊を供養し、しなやかに風そのものの踊りに依って送り出してしまうものと考える。

胡弓の音色が……また切なく風にのって来る。


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