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鍬初(くわぞ)め

「ダダダッ~」黒く乾いた田圃(たんぼ)に刃の回転する音が響く。
初詣の帰路、正月まだ2日というのに、もう早朝から田起こしの機械を入れていた。
「働き者なんですね?」と・・
これが予祝行事としての「鍬(くわ)初(ぞ)め(初鍬入れ)」と気付いたのは、正月2日が事始めだからだ。
「鍬」が耕運機に代わっても、代々受け継がれた伝統の「農事初め」の「シキタリ」が続いている。

                  耕運機2

商家なら「初荷」、「初売り」等、お役所なら仕事初めや、「出初(でぞ)め式」などは当たり前ですが農家の伝統文化「鍬初め」は、果たして地味なのか、高齢化で離農者が多いためか、今ではニュースでも話題とならない。
しかし「鍬(くわ)初め」は、「鋤(すき)初め」「田打ち正月」とも言われて、農事暦が年中行事の中心だった地域では最も重要な仕事始めの伝統文化でした。

                     鍬
                
長崎県壱岐や鹿児島県では、家長が「鍬」をかついで田(畑)に行き、三回ぐらい鍬で耕してから、その穴でモミ殻を燃やす「虫焼き」という儀式を行い。
島根県では、鍬で土を起こしながら、「一鍬千石、二鍬万石、三鍬数知れず」と唱え、田の神様にお神酒(みき)や餅を供えて豊作を祈ったといいます。
他にも、堆肥(たいひ)の引き初め、牛の使い初め、縄のない初めなど、いろいろな農作業を始める「コト初め」があったという。

                   縄

佐賀地方では、「ニヤーゾメ」といい、二日早朝にマネゴト程度に「縄(なわ)」を綯(な)い、ワラ打ち、草鞋(わらじ)作りを行ったと言います。
「クワゾメ」は「二日起こし」ともいい正月二日に屋外での仕事はじめとして苗代に松を立て御幣を飾り、ユズリハやウラジロ(モロムキ)を突き刺して、土を東の方向に向け盛り、鍬を3回打ち下ろし、餅を供え白米を撒き(三所に行なう所もある)、終わると神酒(みき)を一家でいただきました。

また、その年の恵方に向かい鍬を担いでいき松を立て、餅や洗米を供え、三鍬ほど打ち起こしたりして、ウラジロ(モロムキ)、ユズリハを挿したとも聞きます。

                 ユズリハ

戸主が鍬を持って田んぼに出て、松を立て田の神を迎え、鏡餅と神酒(みき)を供える。それから、その年の恵方に向かって「ひと鍬千石、ふた鍬万石、三鍬数知れず」などと唱えて鍬を打つ。最後に種下ろしの意味でお米を播いた。これが基本形ですが、地方によってさまざまなカタチで残されている。

・2日に行なうのは陰陽の奇数は「天」、偶数は「地」を示すためであろう、他に4日に行なう地域もあるが、一般に農事初めとしては8日(コトヨウカ)や11日が「田打ち正月」などとするものが多い。8日も11日も陰陽五行で8は木気の成数で11日は木気の生数(3)と成数(8)の和によると思われる。

五行では一(水)二(火)三(木)四(金)五(土)を五気の生数(気質)を表し、六(1+5)七(2+5)八(3+5)九(4+5)十(5+5)でそれぞれの働きを表す成数としています。
・「鍬を3回振る」は、3も東も木気(春)を象徴する数であり、「一、二を生じ、二、三を生じ、三、万物を生ず」を踏んでいるものと考えます。
・「縄を綯(な)う」とは、創造のシンボルとして上半身が人、下半身が蛇で、陰陽交合の伏羲と女媧の姿であり、単に作業として縄を綯(な)うものではないようだ。

                 裏白

・ユズリハは「交譲木」とも記す。新しい葉(世代)が生じてから古い葉が落ちるため、新旧の断絶がないからのようで、ウラジロ(モロムキ)は表が青(陽)裏が白(陰)で陰陽相対(モロムキ)している故に用いるのでしょう。どれも豊穣と子孫繁栄を願う農事の呪物のようです。

・堆肥も牛も大地の「土」の象徴とされる。正月2日(地)に土地神を祀る農事の初めを行うのは大切な豊作祈願でした。
生産手段としての田畑は、先祖代々ひき継がれるものが多く、その豊作の予祝行事として、鍬が耕運機となった今日でも「鍬初め神事」が継承されていることは地域文化の豊かさのひとつだと思う。
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