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日航123便

ボタンを押す。エレベーターが下り、ドアが開く。足下を確認して乗り、7Fを示す数字を押すと、間もなく扉は閉じ、その鉄の箱は静かに動き出した。

2F、3F・・と加速しながら、7Fのフロアに近づき、減速して停止し、ひと呼吸をおいて眼の前の扉が手慣れたように開くと思った・・・。

だが、停まるはずの7Fに近づいても、上昇の速度は緩まない。
それどころかむしろ加速しているような気がした・・・。

想定外の状況に、私は、あわてて上階の9階のボタンを押なおした。
しかし、何度おしても、停止ボタンの表示が点かない!

                昇降機

…… 一瞬、昇降機事故のニュースが脳裏に浮かんだ。
―――エレベーターが人を乗せて急上昇したり、降下したりする事故だ。

今度は、慌てて最上階の13Fのボタンと、なぜか1Fのそれを押したが・・・どちらも表示が点かない。そうしている間にもエレベーターは加速し上昇を続ける。恐怖が襲う!

―――だが、最上階で、何事もなく停止し、眼の前の扉が開くかも知れない……と、期待した。
しかし、すぐ最上階に迫っているのに・・・停まる気配がない。まさか・・・と身を構える・・・

どうしたワケか、箱は天井の壁を突き抜け、更に上空へと勢い余って飛び出した・・・。
ビルの遥か上空を中心に、エレベーターは、箱を吊るすワイヤーで振り回される空中ブランコの状態になり、半径が50m位の大きな円を描き始めるのである。

―――高所は、気が遠くなるほどだった。

箱は、大きく回転しながら、キリキリと軋む、一本のワイヤーが切れそうな恐怖に、手に汗を握りながら地上をみると、火焔のような灯りに映る夜の高層ビルの街が見えた。

                 夜景
            
ゆっくりと旋回を続けながら、徐々に回転の速度がゆるんで、私が身を硬くしている箱は、漸くまたもとのエレベーターの鞘に納まろうとした。

汗、びっしょり……こんな不思議な夢を繰り返し見るようになったのは―――あの日からだ。

残暑の厳しい8月12日の夕刻。お盆の休みで、単身の福岡から、家族の待つ埼玉へ帰省のために、夕方着の便で羽田に飛んだ。四日間の休みをもらい、土産を抱えて羽田に到着し、モノレールと地下鉄を乗り継いで漸くついた。

 ひと風呂を浴びて、家族と共に夕食のテーブルに着いたとき……だった。

                 福岡空港

TV画面に、緊急速報が出た!―――お盆の帰省などで524名、満席の日本航空123便が、相模湾上空で制御不能となりダッチロールを繰り返しながら、群馬県の山麓付近で消息を絶ったと……。
        
単なる交信トラブルかも知れない?―――とも思いながら、家族と食事をしていると、時間が経つにつれて、状況が予想より深刻となり、どうやら群馬県の尾根の何処かに墜落した恐れがあるという。

                 ジャンボ機

更に、次の報せには、背筋が凍った!―――消えた機影は、どうやら福岡発366便の後続便で、自分も、福岡から搭乗して、夕方に羽田に到着し、同18時すぎに大阪(伊丹)空港に向けて離陸したばかりの同機体だった―――と。

 墜落直前の機体に、偶然にも、私は乗っていたのだった……。

  【 JA8119の当日の運航予定】
 ・503・504便で羽田⇔札幌線・往復
 ・363・366便で羽田⇔福岡線・往復
 ・123・130便で羽田⇔伊丹線・往復 予定(123便が墜落)

(後日、事故原因は、金属疲労からくる隔壁破損が有力とされた……)
―――つまり、いつ墜落しても不思議はなかったのだ。

                  御巣鷹山

あの事故のあとからだ――― エレベーター暴走の悪夢にうなされるようになったのは……。
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